Fedは金利を引き下げない

市場では9月にFedによるFFレートの引き下げが行われるのではないかというのが大方の見方である。この意見に反対し、その必要はないからFedはレートを引き下げないというDonald Luskinと言う人の記事が目に入ったので、お知らせします。
現在米国信用市場の急激な調整を背景にして、危機的な状況が収束したとの安堵感が薄い中で、この様な意見が出るのはいかにも米国らしく、面白いと思う。以下彼の意見の要約と私の簡単なコメント。


彼によれば、金利はインフレーションをコントロールし成長を調整する手段であって、現在直面している問題はそれではなく、金融市場の不安定性にあるので、金利を引き下げる必要はないと言う。この不安定性を解決するためにはFedは別の手段;割引与信融資(discount lending operation)を持っており、既に4つの大(そして健全な)銀行が$500Mの融資をFedから直接受けている。しかしこれは“Fedはいつでも危機に対応する用意がある”ということを示す、単なるショウである。同時にFedは日々現行の金利5.25%で資金を供給しておりこれには何の問題もない(現行の金利で十分な需要がある。)。
現在株価は最高値の6%低い位置におり、これは近々不況が来ると言う市場の動きではない。ましてや本物の信用クライシスの中での動きではない。1998年のクライシスでは株価は約20%下落した。S&P500の大企業の1年後の収益予想は最高値を示しており、不況が来るのであれば、この数字は大幅に下落するはずである。
金利をここで引き下げないと、株価は大幅な下落をするか? 答えはNoである。Fedが金利を引き下げないのはその必要が無いからである。不況が来ると言う兆候が見えないし、企業は好調であれば、市場はFed金利の動きを気にしない。
結論を言えば、金利の引き下げはない。さらに今年の年末には株式は新たな最高値をつける。


確かにインフレーションは収まっているし、第二四半期のGDPは4%の成長を示している。消費者はまだ支出を続けているし、企業は好調だ。あながちこの意見を荒唐無稽だと笑い飛ばすことは出来ない。しかし一方メリルリンチエコノミストは、65%の確率で不況の可能性があるとしている。9月18日のFedの会合までのお楽しみ!